OS用NVMe M.2 SSDの発熱対処のためファンを2基追加してみた
今年の夏は例年にも増して酷暑が続いているため、昨年導入した自作PCのOS用NVMe M.2 SSDも60℃前後をうろうろしているという始末。
現在のところ幸いにも60℃台以上に温度が上がることはなくサーマルスロットリング等の問題は発生していないが、60℃台のままの上が続けば当然SSDの寿命にも影響が生じる懸念もあるため、温度低下のための対策を講じることに。
対策と言ってもヒートシンクに関してはマザー付属のものを既に使用中なので、今回さらなる冷却性能向上のために取った手段はNVMe M.2 SSDへ直接風を当てるためのファンを設置すること。
しかしながらNVMe M.2 SSDの設置箇所はグラボの真下部分のため、ここにファンの風を吹き付けようとすると少しばかり小物を用いて設置方法に工夫が必要になる。
用意したのは長尾製作所のM.2 SSD用ファンステイと山洋の92mm角ファン2基
マザーに直付けかつグラボの真下という排熱性の面ではある意味最悪な場所にあるNVMe M.2 SSDに的確にファンの風を送り届けるために今回用意したのは、以下の2点。
PC用金属類では定評のある長尾製作所のM.2 SSD用ファンステイ「N-M2S-FSTY」。PCIスロットカバー部分に取り付けるファン設置用のステー。
内容物はファンステー本体、ファン固定用テーパーネジ×4、ファンステー本体をPCIスロットカバー部分への固定用ネジ×2(防振プレートひとつ付属)。
対応ファン:120mm角ファン×1台 または50~92mm角ファン×2台
N-M2S-FSTYは120mm角ファンひとつ、あるいは92mm角ファンふたつまでが推奨ファンサイズとなっており、ファン固定はファンに4つあるネジ穴の内ふたつのみで行う仕様のため、確実かつ強固に固定しないと振動やらが酷いことになりそう。
用意したファンは山洋電気の「San Cooler92 PWM方式」がふたつ。120mm角ひとつにするか92mm角ふたつにするか悩んだが、最終的に「M.2 SSD全体に風が当たること」と「ついでにマザー(というかX570チップセット)とあわよくばグラボも冷やせること」を考え、より広範囲に風を送ることが可能な92mm角ファンふたつを設置することに決定。
92mm角ファンといっても信用・信頼の山洋製ファンのためその性能は折り紙付きで120mmひとつを設置するよりも遙かに強力な冷却性能を見込めると推測。
スペックとしては最大風量51.2CFM、回転数600-3,150rpmと送風力はかなりのもので、フル回転時の騒音は結構凄まじいもののPWM制御のためフル回転まで至ることはまずないはず。寿命もMTBF3,000,000時間というほぼ気にする必要が無いレベル。
最大風量:51.2CFM 回転数:600-3,150rpm 騒音:11-33dB
サイズ:92mm×92mm×25mm ケーブル長:800mm リブ無し
唯一の懸念は厚みが25mmのため、事前にPCケース内を計測したとはいえ、実際に設置してみないとファンステーとの兼ね合いもあって上手く狙った場所に設置できるかが不明な点。
ファンステー&ファンの設置自体は簡単だったが、思わぬモノが邪魔をした……
では早速設置開始。PCケースサイドの強化ガラスパネルをオープン。
グラボ直下のPCIスロットを外して、ファンステーを固定。するとファンステーはグラボのすぐ真下に位置するので、そこからファンをぶら下げるように固定・設置するのが目的。そうすればぴったり真正面からM.2 SSDにファンの風が届くはず。
ふたつのファンの電源はマザーのこのふたつの部分(【Chassis Fan_2】と【Chassis Fan_3】共にPWM4ピン)からそれぞれ取ることに。
本来はここにはトップファン×2とフロントファン×2が分岐ケーブルを介して接続されていたが、これらは普通の3ピンファンで常にフル回転仕様だったので、ここから退去して改めてSATA電源ケーブルにファン用変換ケーブルを繋いでそこに接続し直すことに。
ファンステーの設置は難なく終了。苦労した事と言えば、ファンステーの前後位置ぐらい。しかしファン設置の時点で問題発生。
電源ユニットカバーが邪魔でファンが設置できない。
一応事前の計測時にはギリギリいけたはずだったが、実際の設置でほんの数mmの高さの誤差が邪魔をした。まぁ自作PCよくあると言えばよくあることか……
まぁ幸い解決策は極めて簡単で、電源ユニットカバーを外すだけで問題は解決する。このカバーは名目上電源ユニットの熱を遮断するというよりもサイドが強化ガラスのために見栄え重視で設置する意味合いが強かったため、なくても運用上は特に無問題。実際サイドが普通のスチールパネルタイプには付属していないパーツだし。
第一こんな薄いプラカバーで電源ユニットの熱を遮断できるなら苦労はない……
ファン設置の効果は想像以上に抜群。常時60℃台が一気に-20℃されて40℃台に低下。
それでは早速ファン設置の効果を確認して、その後即座に思ったこと。
もっと早くやっときゃ良かった。
取り敢えずファンは設置後BIOSからオートキャリブレーションを掛けた後、2基共30~40%程度の出力で推移しているが、
たったこれだけで温度が40台に完全に固定された。効果は抜群だ。
具体的には室内をエアコンで28℃状態にして運用していると、温度はどんなに高くても46℃が上限になった。エアコン無しで室内温度が32℃前後の状態でも、50℃行くか行かないか程度までしか上昇しなくなったので、ファンによる送風が如何に重要か痛感させられた結果になった。
ちなみに温度計測中のPC作業は動画のエンコード処理だったが、SSDではなくHDD側に保存している動画ファイルに対するエンコードなのでSSD自体にはさほど負荷はかかっていない状態だが、以前はその軽負荷の状態で温度が60℃台だったのだから、如何にM.2 SSDが発熱するパーツなのかが窺い知れる。
X570チップセットは第3世代Ryzenとの組み合わせでPCIe4.0対応のNVMe M.2 SSDを使用できるが、今回使用しているNVMe M.2 SSDはSAMSUNG 970EVO Plus NVMe M.2 500GBなのでPCIe3.0の従来品。
そんなPCIe3.0のSSDでさえこの始末なので、PCIe4.0対応のSSD使用を考えるなら、M.2 SSD冷却用のファン増設は必須事項になるかもしれない。下手をすればヒートシンクもマザー付属のものからさらに高性能なものへ交換することも視野に入れる必要があるかも……
総評:やって良かったファン増設。残るは細かな微調節のみ
結論から言うと、やる前は正直「効果は微妙かも……」という考えがよぎっていたが、実際やってみれば結果は大成功。本当、昨年PC自作した時にさっさとやっとくべきだったと軽く後悔&反省。
……というのも、実はその昔旧PCでサイドパネルにファンを2基増設した時にはそんな劇的な変化が見込めなかったので、今回もあんまり期待できないかもという疑念が根付いていたわけで……
まぁ何はともあれ結果としては大成功&大満足になったが、まだ細かな調整類が残っているので今後は冷却性能を見つつ、最も低騒音・低電力になる設定を突き詰めていこうかと。
具体的にはまずファンステーの位置の見直し。現在ファンステーはわずかにグラボの真下に入り込んでおり、グラボのファンの端を微妙に塞いでいる状態。
現状でも特に問題は出ていないが、ファンステーは前後にまだもう少し微調整可能なため、M.2 SSDに近づけるなり離すなりしつつ最も効率的な冷却性能を発揮しつつ、他パーツのエアフローを妨げない位置を模索したい。
それと同時に、ファンの位置を変更したらやらねばならぬのがファン回転数制御の再設定。
ファン制御をいちいちBIOSから設定するのは面倒なので、ASUS純正ツールであるAI Suite3内にある「Fan Xpert4」でWindows上から制御設定を詰めていく。
最大回転数が3,150rpmもあるので、ファンを多少M.2 SSDから離しても十分に効果は見込めるだろうが、回転数が上がると騒音も大きくなるし、風力が大きくなると他のエアフローを乱す可能性も考えられるので、まぁ無理ない範囲で様子を見つつやっていこうかと。
今回使用したパーツ類
対応ファン:120mm角ファン×1台 または50~92mm角ファン×2台
質実剛健にして痒いに手が届く長尾製作所のPC用金属パーツはやはり今回も鉄板。12ommファンを設置した場合強度不足でしなるというレビューも散見されたが、今回設置した92mmファン×2ではしなることも共振も無くファンを見事に固定している。まぁファンの片方がすぐ下の電源ユニットに乗っかっている状態なんで、それが支えになっている可能性も否めないが……
これだけの製品がわずか1,000円ちょいで入手できるのは本当にありがたい。
最大風量:51.2CFM 回転数:600-3,150rpm 騒音:11-33dB
サイズ:92mm×92mm×25mm ケーブル長:800mm リブ無し
PC用ファンの鉄板・山洋電気製のPWM制御ファン。92mm角サイズで最大回転数3,150rpmを誇り、その風量はM.2 SSDをガチで冷却する。
そんな強力ファンが2基ともなれば、恐らくPCIe4.0対応の爆熱SSDでもいけるはず。多分。ただ最大風量に近づくにつれ騒音が割と洒落にならないレベルになるのだけには要注意。
それとリンク貼っといて何ですが、20年8月時点での最安値は間違いなくAmazonなのでAmazonでの購入推奨。楽天は何をどう考えてるのか価格がちょっと……
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