先日導入した新 HDD に不良セクタが発生……
先日購入した東芝の 4TB HDD「TOSHIBA MD04ACA400」だが、使用3日目にしてまさかの不良セクタ発生の憂き目に。簡易的な初期チェックでは問題なかったはずだが……
これまでに導入・運用してきた HDD で不良セクタが発生した経験は 実に全くのゼロ。
初期不良はもちろん、最長で20,000時間近く運用している WD GREEN 2TB の HDD ですら不良セクタの発生が起こったことは現時点においても全く無し。
それが今回は使用27時間で不良セクタ発生による警告が CrystalDiskInfo から響き渡るとは一体どういうことか……
東芝の HDD に手を出したのは今回が初めてで、東芝の HDD 自体は評判もそこそこで決して低品質なわけではないと思うが、初導入でこの有様だと少しばかり疑心暗鬼になってしまう。
また今回はバルク品の HDD ということもあり、やはりこれまで導入してきたリテール品 HDD よりも品質管理面で劣るのかなども考えたりなど、思い浮かぶのはネガティブな思考ばかり。
とは言えこのまま泣き言ばかりを口にして放置するわけにもいかないため、取りあえず何らかの対処を行っていこうかと。
発生した問題箇所が「代替処理済のセクタ数」の場合、閾値内なら特に問題なし?
まずは問題の発生した HDD の CrystalDiskInfo 画面を。
今回警告が発生したのは ID:05「代替処理済のセクタ数」で、生の値が「8」となっている。またそれに伴い、ID:C4「セクタ代替処理発生回数」が「1」となった。
これを単純に解釈すると、「不良セクタが発生したためそれを代替セクタに振り返る代替処理が1回発生し、その結果つのセクタが代替セクタに振り替え処理された」ということになる。
不良セクタは文字通り、不良となり読み書きが不能となったセクタのこと。早い話が HDD プラッタの故障箇所。これがあると当然 HDD の読み書きができなくなるから、極めて重大な問題となる。
……が、HDD は非常に繊細で緻密な構造のため実は出荷当初からある程度の不良セクタは最初からあるが、それを出荷時にメーカー側で処理してシステム側にはゼロに見せかけているだけというのはよく知られている話。
つまり HDD には最初からこの致命的エラーである「不良セクタ」は存在しているが、同時にこれが発生しても致命的な状況=HDDの読み書き不能という事態を回避するための機能が備わっている。それが「セクタの代替処理」となる。
HDD は不良セクタが発見された場合、それを予備として有しているセクタに振り替える代替処理を行うことで、今後不良セクタは使用せず代替セクタでのデータ読み書きを行うようになり、HDD の使用上問題が無いようにしている。
一応弊害としては代替処理を行ったセクタは本来連続していたはずのセクタに連続して読み書きができなくなり、その結果読み書き速度の低下を招くというものがあるが、よほどのヘビーユーザーでも無い限り体感上ほぼ気にならないことが多い。
つまり結論として、今回問題が発生した「代替処理済のセクタ数」だが、これは「不良セクタが発生したけど、きちんと代替処理できた」ということなので、取りあえずの使用上には特に問題ないということ。
もしこの値が今後しきい値すら越えて急速に増加していくようなら重大な問題に発展する可能性大なので早急に対処する必要があるが、そうでないならしばらくは様子見でも構わないとのこと。
もちろん非常に重要なデータを取り扱っていたり、また精神衛生上び安定を重要視する人ならば即新品と交換、あるいは今回のように購入して間もないならば初期不良申請するものアリかもしれない
しかし前述のように不良セクタはどんな高品質の HDD にも付きものなエラーなので、不良セクタがきちんと代替処理されており、S.M.A.R.T. で発生しているエラーが「代替処理済のセクタ数」だけである場合、それは初期不良とは見なされず交換には応じてもらえないことが多いとのこと。
まぁHDD の不良セクタ回避機能が働いている以上当然それは「正常」と見なされるわけなので、そのメーカー判断は正しいと言える。ユーザー側のモヤモヤした不安感は残るかもしれないが。
ただそれはあくまでもエラーが「代替処理済のセクタ数」のみで、かつしきい値の範囲内の場合の話。もし購入後 1~2 週間程度の時点で代替処理済のセクタ数がしきい値を超えて急速に増大したり、あるいは「代替処理済のセクタ数」以外のエラー、特にID:C5「代替処理保留中のセクタ数」及びID:C6「回復不可能のセクタ数」の生の値が 1 でもある場合は、確実に初期不良の対象となるので、早急な判断及び対処が必要となる。
C5 と C6 のエラーは HDD の寿命が尽きる寸前の合図
S.M.A.R.T.の値は様々だが、その中でも HDD の健康状態を監視する上で重要なのが、
- ID:05「代替処理済みのセクタ数」
- ID:C5「代替処理保留中のセクタ数」
- ID:C6「回避不可能のセクタ数」
- 温度
上記の4つ。その中の「温度」は HDD が適温で稼動しているかどうか確認するためのもので大体 40℃ 以下が望ましいとされ、それ以上の温度の場合故障確率が大幅に上昇する可能性大なので要注意となる。
現状での HDD の健康状態を確認する上で重要なのが ID:05・C5・C6 の各項目で、その内 ID:05「代替処理済みのセクタ数」については前述の通り生の値がしきい値を超えたり、あるいは短期間で急速に上昇したりしなければ「一応は」問題無しとされる。
……が、ID:C5「代替処理保留中のセクタ数」及びC6「回避不可能のセクタ数」は生の値が 1 でも増加すれば、それは「不良セクタの代替ができず、今後データの読み書きに重大な問題を引き起こす」という意味になるため、事態は極めて重大となる。
「代替処理保留中のセクタ数」とは不良セクタ(あるいは不良と疑われるセクタ)を発見したが現時点では何らかの理由でまだ処理がされず、次回そのセクタ部分にアクセス時にその判断及び何らかの処理を行うのでそれまで保留中のセクタの数を表す。
よってこの時点ではまだそのセクタが真に不良セクタか否かは未確定で、あるいは不良セクタであっても次回処理時に正常に代替処理がされて事無きを得る可能性もある……が、基本的に不良セクタは発見された時点で代替処理されるのが普通で、実際にはそのまま「回復不可能なセクタ」にカウントされる可能性が高いらしい。
「回復不可能のセクタ数」は予備セクタを使い果たす等で代替処理も行えない不良セクタがあるため、今後のデータ読み書きに致命的な影響があることが確定した状態ということなので、こいつの生の値が 1 でもカウントされたらその時点で HDD は即座にバックアップを取り、新品の HDD と交換するのが唯一の解決策となる。
結論:今回はしばらくの間 S.M.A.R.T.監視を密にしつつ様子見することに
ID:05「代替処理済のセクタ数」の生の値が 8 になってからもしばらくデータを大量(3TB 程度)に読み書きしてみたが、その後数値が変わることはなく、その他のエラーも発生しなかったため、これは今回新品 HDD の初期チェックを簡易的なものに留めることで見落としていた「どんな HDD にも付きものの」不良セクタが代替されたものであると判断し、今回は要交換対象とはせずにしばらくの間使用し続けながら様子を見ることに決定。
購入後30時間程度の使用で発生した不良セクタは初期不良扱いされるべきという意見も多いが、不良セクタに対する HDD の自己対処機構が正常に機能している以上、これは初期不良ではないというメーカー判断にも確かに一理あるし、何より 既に運用開始してしまった HDD の返品とか超めんどい というのが本音だったりする(笑)。
几帳面というか神経質な性質のためバックアップは結構頻繁かつほぼ完璧に外部ストレージに取っているし、何より人生初の HDD の不良セクタ問題、この後どう妙な問題を発生してくれるのかちょっと楽しみでもあったりする。
もちろん重大かつ致命的な結末を迎える前に何らかの対処をするつもりだが、その日が来るまでは少しばかりピリピリしながら趨勢を楽しく見守ろうかと……
最後に今後のエラー発生に気付きやすいように、今回問題が発生した ID:05「代替処理済のセクタ数」の健康状態設定を少し変更しておく。
メニューの「機能」>「上級者向け機能」>「健康状態設定」で該当する HDD を選択して「代替処理済のセクタ数」の「注意と判定する基準値(生の値)」を現在の生の値+1(ここでは 9)に設定すれば、
現在の状態は「正常」に戻り、今後「代替処理済のセクタ数」の生の値が増加することがあれば、その時点で再度注意喚起が出されるようになる。
まぁある程度使い込むまではもう二度とこんな表示出て欲しくないものだが……
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